加藤 文元
「「それは、僕自身がそうだったから。自分が本を読んでいる時に、この作家は絶対に苦しい時間、寂しい時間、一人っきりの時間を過ごしたはずだという前提で読むんですよ。(吉田修一)」・・・ 孤独な時間が必要なのではないか。・・・ その人の出す「音色」に共鳴してくれる他者が必要だということです。」(p.92~p.104)
人が人をリスペクトできるのは、相手が孤独だったり苦しかったりしたであろう時間を感じとれたときではないだろうか。安野光雅の絵画展に行ってきた。一枚の絵にかけた時間だけでなく、人生をかけて積み上げてこられた心のこもった「時間」というものを、絵の中に感じる。吹奏楽部の演奏会や野球部の試合にでかけて、いつも心が熱くなるのは、彼らのプレーの背景に、苦労や悩みとの闘いの時間を感じるからだ。そう、人の孤独な時間は「共鳴」を連れてくる。小さな音色が、共鳴によって、人の心を揺さぶってくるのだ。
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