2022年3月2日水曜日

『仕事のお守り』

ミシマ社編

「mediaは、mediumの複数形で、原義は「媒介」ですよね。あくまで「媒介」です。どれだけやわらかに受け止め、気持ちよく届ける(伝える)ことができるか、です。・・・ 「自分のことを、ただ時間を通過させているだけの、流動的な存在なのだとお考えになればいいと思います。他人の色を受け入れて、初めて自分という価値があらわれてくるのです。(村上春樹)」(p.126~p.130)

 後半のことばは「思っていることを伝えられない」という人の悩みに、村上春樹さんが答えたものだ。教会のステンドグラスは、ガラスを通過したその光に美しさを感じとることができる。本当に伝えたいと思うものがあるときは、「自分」というものがその障害になってはいけない。日常をちゃんと受け止め、穏やかに振る舞えば、自分でも気づかない美しい光をともなって人に伝わると信じよう。

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