2022年3月8日火曜日

『考える方法』

中学生からの大学講義2 から
「それは、本当に「科学」なの?」 池内了

「科学には、いくつかの満たさねばならない要件がある。合理性、道理に適っていること。論理性、筋道が通っていること。実証性、実験や理論で証明できること。普遍性、質の違った事例にも適用できること。無私性、個人の意向や願望に左右されないこと。懐疑主義の必要性、疑義や批判を怠らないこと。そして、公有性、誰もが使えること。」(p.41~p.42)

 信用できる科学者は、科学の限界をきちんと述べる人、科学のいい所と弊害をきちんと告げる人であるとも池内さんは言っている。TVのニュースは事実を報道しているというけれど、それはすでに切り取られた情報だし、それを伝える人の思いが反映されたものでもある。限界や弊害について告知されても、報道や科学がどこまで真実に近いかどうか、誰もジャッジできない。満たさねばならない「要件」は、どれも必要条件であって十分条件ではないということだ。「科学」とは結果や理論のことではなくて、方法や過程や姿勢といったものを指すということなのか。「科学」を説明するだけでも、すでに「限界」がある。ただそうであっても、「科学者的」な振る舞いのできる人でありたいと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿