2022年3月16日水曜日

『コロナ後の世界を生きる』

村上陽一郎編
「「ウィズ」から捉える世界」 ロバート・キャンベル

「ソーシャル・ディスタンスは、今はまだ物理的な距離として考えられていますが、社会の中の自分自身の位置づけを知る、自分の居場所から他者との関係を見つめ直すことだとも捉えたい。一人ひとりの資質、意欲によって、自律的に能力を発揮できる社会をいかに整備できるか、そこが問われています。」
(p.110)

 アメリカで生活をしていたとき、よく親しみを込めてハグをした。照れくさくも、あなたとの関係を大事に思っている、という確認や約束であるように感じた。日本では、コロナに関係なく、ボディタッチはほとんどしない。距離をとることが相手を尊重することで、干渉しすぎてはいけないと、少なくとも私は無意識にそう思ってきた。そんな私だが、病院や施設や学校でクラスター感染が発生したときにこれを責める人たちがいることには強く違和感をもった。親身になって人のために働く場、ともに汗を流して喜び合う場では当たり前のこと、むしろ、そこにあるべき大切なつながりがあったことに誇りをもってほしいと思った。「クラスター(群れ)」という言葉が、ハグのできる仲間というような前向きな意味で使われる日を待ち望む。

0 件のコメント:

コメントを投稿