中学生からの大学講義3 から
「社会の役に立つ数理科学」 西成活裕
「壁の落書きをなくすにはどうすればいいか? 海外で実施された画期的な解決法というのが「落書きをした人にお金をあげる」。噂を聞きつけてたくさんの人が集まって、前以上に落書きだらけになった。そこで、あげるお金を少しずつ減らしていって、最終的にはお金をあげないことにした。すると、誰も来なくなって落書きがなくなってしまった。これは、いたずら目的で来ていた者を、お金目的に変えさせたという点に勝因がある。」(p.146)
渋滞現象を数学で解き明かす西成さんの話。落書きの話は、別の所でも聞いていたが何度聞いても面白い。こんな話もある。チンパンジーにパズルを与えると、彼らは喜んでそれに取り組む。パズルが解けたらバナナをあげるようにしたところ、チンパンジーは前にも増して一生懸命に解こうとする。ところが、バナナを与える前は、自分から取り組んでいたのに、バナナを与えるようになってからは、バナナが欲しいときにしかパズルを解かなくなったという。「遊び」が「労働」になってしまったわけだ。問題を全体から見る、物事の本質を捉えるというのは、なかなか高度な技術なのだ。
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