2022年3月10日木曜日

『揺らぐ世界』

中学生からの大学講義4 から
「グローバルに考えるということ」 伊豫谷登士翁

 
「家族や共同体、国家など、これまで人がよりどころとしていたものに対する帰属意識が次第に薄れ、崩壊しつつある。そのような社会で問題をどのように捉え、自分をいかに表現していくのか。私自身、その疑問に答えられるわけではありませんが、常に自分に言い聞かせているのは、いろいろな考え方の境界(ボーダー)に自分を置くことで、新しいものの見方を発見していきたいということ。それがグローバルなものの考え方を身につける一つの方法なのではないかと思います。」(p.228)

 さまざまな領域の交差域(border)に立ってものごとを見るということ。「border」は本来、国境、境界線という意味だが、自分の中にあるさまざまな壁と捉えると、先入観(閉鎖的な思い)、内向き志向(限られた興味関心や限られた仲間)、安全志向(異言語・異文化との交流の敬遠)といったものもこれに入るだろう。正しいと思い込んでいるもの、居心地がよくて抜け出せないものを一度手放してみるとか、自分の立ち位置や価値観を敢えて崩してみてはどうだろう。世界の変化によって、そうせざるを得ない状況になってから慌てないように、自ら訓練し「森を見る力」を磨いておきたい。海外留学は、まさに国境を越えて目が開かれる機会となる。できれば感受性の豊かな若い時代にチャレンジすることをお勧めしたい。

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