2022年3月11日金曜日

『生き抜く力を身につける』

中学生からの大学講義5 から
「〈若さの歴史〉を考える」 鵜飼哲

「両親の世代は、国が「タブラ・ラサ(白紙)」に戻るという経験をした。でもこれは、若者ががんばれば、まったく別の新しい国がつくれる、そういう希望を抱いていた時代だったともいえるのです。・・・ 私の世代は、「スチューデント・パワーの時代」でした。世界の至るところで学生運動が起きていました。「上の世代に対する不信感」は世界中にあったのです。でも、先行する世代に反発したからこそ、大人になって生きていくために必要な知識や考え方を学ぶことができたのだと思います。・・・ 皆さんは〈サバイバルの技術〉を幼少期から自力で身につける必要はありませんでした。これからは「見取り図のない時代」を生きていかなければなりません。」(p.182~p.188)

 「自主・自立」を目指す学校では、ある意味「サバイバル」な環境や壁となって立ちはだかる先生が必要になる。それは、「失敗」がとても大事だということを経験し、「一人では自立できない」ことを学ぶためである。自立した人というのは、自分一人で生きていける人のことではなく、自分が立っているところで、自分が生かされていることの意味を考えて、やるべきことをちゃんと実行する人のことだと思う。一人では自立できないというのは、人との関係の中にしか「自立」は存在しないからだ。「見取り図のない時代」というのは、豊かな社会に生きるがゆえの不安や不公平(格差)にもまれるということかもしれない。とすれば、自立は、自分の立ち位置を自分で変える(border areaに足を置く)ことができる力ともいえるのではないか。

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