2022年3月5日土曜日

『手づくりのアジール』

青木真兵

「見えるものだけを見る。わかることだけをわかる。現代はできる限り速いスピードで、これらを行うことが求められています。人間社会でうまくやっていくための能力はほとほどに、見えないものを見ようとすることが重要なのです。このような能力を帚木蓬生氏は「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼びます。」(p.161~p.162)

 帚木さんは、ネガティブ・ケイパビリティを「宙吊り状態を支える力」と表現する。拙速に答えを出さずに宙ぶらりんでいることに耐えるという感じか。たいていのことはすぐに解決しないものと知りながら、白黒をつけたがる現代社会に順応している私がいる。一方で、「手づくり」好きの私は、ものをつくることに熱中し時間を忘れてよく怒られた。たくさんの失敗や修正を繰り返すその作業は、ある意味、宙ぶらりんかもしれない。耐えてる意識はないけれど。

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