2022年2月13日日曜日

『たちどまって考える』

ヤマザキマリ

「日本は鏡に映し出されたそのままの自分ではなく、他者が「あなたってこんな人」と象(かたど)った自分を自分自身だと思い込む傾向が強い社会だと感じています。コロナの出現によって、他者という鏡を失って戸惑う人もいるとは思いますが、ここらで自分自身の力で、自分というものを知ってみるのはどうでしょうか。映画や本や音楽は、自分で自分を知るための鏡としては最高の素材になります。」(p.122)

 「きょろきょろして、自分が自分であることに自信がなく、常に新しいものにキャッチアップしようと落ち着かない」ところが日本人のナショナル・アイデンティティとの論(『日本辺境論』内田樹)を思い出した。停滞することが悪いことのように感じ、たちどまって考えることが苦手なのは私だけではないと思うのだが、コロナ禍はいままでできなかったことを行動に起こすチャンスかもしれない。本を読み映画を見て、思考や感性を鍛える「自家発電」の時間を大切に、とのヤマザキさんからのメッセージ。

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