梅原猛
「夢を見る人間には、心に大きな傷を持っている人が多いんですね。その心の傷が夢を見させている、そう思うんです。」(p.19)
バイオリンはその胴の部分に傷のあるものの方がよく響くと聞いたことがある。これさえなければと、つい思ってしまうものだが、これがあるからより成長できる、高慢にならなくてすむと考える人がいる。この本の中で梅原さんは、西田幾多郎の著書を何度読み返してもよく解らず、解らないからいっそう深い魅力を感じて哲学の道を選んだと語っている。力がなくても、傷をもっていても、よくわからなくても、というのは、なにかを成し遂げるための動機やエネルギーになりうるのだ。
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