2022年2月22日火曜日

『ヒトの壁』

養老孟司

「ヒトは適応性の高い生きもので、AI社会に適応してしまう可能性が高い。その意味でじつはAIがヒトに似てくるのではない。ヒトがAIに似てくるのである。社会がAI中心に動くということは、個人がAIのように動くことになる方向性を意味する。自分の意思のつもりが、じつは世の中に流されているだけ。」(p.91~p.92)

 「開戦はやむを得えなかったことで私の本意ではない」と昭和天皇がこたえように、IT化に遅れをとってはならないという思いだけで、その目的や影響を考えずに突き進むと同じ轍を踏むことになる、という警告であろう。しょうがなかった、そんなつもりじゃなかったと言い訳せずにすむよう、自分の意思を確かめる癖をつけよう。この本には、愛猫「まる」の話も出てくる。「猫なんて役に立つわけではなくて、迷惑をかけるだけの存在のはずだ。でも、だからこそ、あれでも生きているよ、いいんだよねと思える」とのくだりがある。役に立つか立たないか、損か得かばかりの社会でないことも、ちゃんと心に留めて。(2/22は「猫の日」だそうだ。)

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