津田一郎
「そもそも心とはいったい何なのか。科学者にもっとも広く支持されているのは、脳神経系の活動状態から心や意識が生まれてくる、心は自然現象だ、という考えです。・・・ 成長する過程において、お母さんやお父さんの話しかけや触れ合い、働きかけがあって脳神経系はどんどん発達していきます。脳は他者の心によって構築されているのではないか。」(p.50~p.53)
心の動きのロジックを脳科学で解明しようとする。他者による心が入り込んで、私の脳をつくり「私の心」として表現されていくという話を、文字通り受けとめるのは難しい。人は他者によって自分を知り、他者によってその人らしさを身につけていく、とでも解釈しようか。もはや他者との境界線を引くことは難しく、ぼやけた領域にいる自分を、自分らしい「器」へと変形させていく。「器」であるがゆえに、やはりその中には誰かを受け容れ、包み込む役割をもっているともいえる。
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