2022年2月7日月曜日

『ベンチの足』

佐藤雅彦

 「私は、これまで、文章を書くときや番組を作る時には、できるだけみんなが分かるように解釈を伝えようと心がけてきた。・・・ 読者や鑑賞者が求めているのは「準備された説明」ではなく、それを自分で見つけたくなるほどの「妙(intrigued)」であったのである。」(p.266~p.267)

 数学を教えるのに「分かりやすく」がモットーであった私も、いつしか生徒を「混乱させる」方が力をつけることになると思うようになった。たとえば、確率を学ぶとき、初めに場合の数を数え上げるのはやめて、「赤3面、黄2面、青1面のサイコロ」を2個転がしたとき、(赤,赤)(赤,黄)(赤,青)(黄,黄)(黄,青)(青,青)のどの組が一番よく出ると思うか、と聞く。すると、(赤,赤)と答える生徒が多いので「じゃあ、やってみよう」ともっていく。予想通りにいかないことで、生徒自身が場合の数の数え上げを始める、という訳だ。

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