橘川幸夫
「森を見る力は、現実の問題を無視して、遠くから高みの見物をすることではない。現実の問題を直視しながら、同時に遠い地点から現実を見る力である。感じる力と考える力のどちらにも偏重しない平衡感覚を持つ者を、大人と呼ぶ。」(p.20)
同じ森を見るにしても、いまどこに立っているかによって、見え方も説明のしかたも緊張度合いも違ってくる。中島みゆきさんの曲に「闘う君の唄を、闘わない奴等が笑うだろう」という歌詞があるが、外側に立って人を評価する力はいらない。同じ森の中で汗を流す仲間たちと、森という溢れる自然への畏敬を感じとれる者でありたい。この本の中に「共生は、仏教用語で「ぐうしょう」と読む。これはお互いを刺激しあいながら生きるという意味である」との一文がある。人に生かされていると同時に、人を生かす役割をもっているということを、見過ごしてこなかったか。
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