2022年2月27日日曜日

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

ブレイディみかこ

「「期末試験の最初の問題が、エンパシーとは何か、だった。」「で、お前、何て答えを書いたんだ?」「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた。」」(p.73)

 自分で誰かの靴を履いてみる(To put yourself in someone’s shoes)、これは、他人の立場に立ってみるという意味だそうだ。これを聞いて思い出すことが2つある。一つは長田弘さんの詩。「みるときには めをつぶる/めをあけても なにもみえない/あたまは じめんにくっつけて/あしで かんがえなくちゃいけない」 あたまでは解決できないことがあるのだ。もう一つは、高史明さんが「死にたい」という中学生にかけたことば。「まず手をひらいて相談しなきゃ。支えられている足の裏と相談してみなさい。」その子は数ヶ月後「足の裏の声が聞こえてくるまで歩くことにしました」と手紙を送ってきたという。いま自分の足がふみしめる大地でつながっている人がいるのだ。

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