2022年2月20日日曜日

『積読こそが完全な読書術である』

永田希

「返さなければならないメール、こなさなければならないタスク、観たいけどまだ観ていない映画、学びたい言語、興味のある学問の分野、そして、読みたいけれどまだ読んでいない本。それは、人類史上もっとも情報を「積む」人々が無数に発生しているということを意味しているのです。」(p.19)

 不完全な読書を前提にするしかない、と永田さんは語る。さまざまな情報を得て、醸成され、心が豊かになる一方で、もっともっと豊かになりたいと思う気持ちが、自分を追い立て、何も成長していない自分に失望したりする。読書に限らず、「不完全」であることを受け入れ、醸成のペースをちゃんと保つためには、敢えて「積む」という選択肢を選ぶことがあってもいいだろう。ミヒャエル・エンデが紹介していたインディアンの話を思い出した。「インディアンたちが、これまでの歩みが速すぎたからと、しばらく同じ場所を動こうとしなかった話」「水場の近くに住んだ方がよいのではと尋ねたら、そうしたら快適さという誘惑に負けることになると返された話」。いずれも、朝日新聞(1989.1.1)の記事。

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